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イベント情報 投稿記事 狭山事件 差別事件 クローブアップ オススメ コラム

狭山事件の第3次再審請求書は、東京高裁の2審無期懲役判決があげた「筆跡」「万年筆」などの有罪証拠の疑問、石川さんの自白が真実ではないことをひとつひとつ明らかにして、再審開始を求めています。

新証拠として、@筆跡鑑、A脅迫状の筆記用具に関する鑑定、B万年筆捜索に関する元警察官報告書などが提出されています。

鑑定人の半沢英一氏は金沢大学大学院の助教授で数学者。
見出し脅迫状にみられる「な」「す」「け」の特徴が石川さんの書いた文書には 見られない。
見出し脅迫状は「え」と書くべきところに「江」という漢字をあてているのに対して、石川さんは「エ」とカタカナで書いている。
見出し脅迫状は「や」と書くべきところを「ヤ」と書くという特徴があるが、石川さんは「や」とひらがなで書いている。
このように半沢鑑定人は石川さんが1965年までに書いた文書全体から文字の一覧を作成し、文字の特徴やカタカナ特性の出現頻度を調べました。その結果、いずれの特徴についても脅迫状と石川さんの筆跡には「安定した相違性」があることを明らかにし、異筆であることを証明しました。

有罪判決、再審請求棄却決定の根拠とされた4通の筆跡鑑定は、「な」の第3筆以降が「子」状に連続しているなどの類似点を指摘する一方、半沢鑑定人は右肩環状連筆などの異筆性を指摘しました。
こうした類似点と相違点が併存するときに、それらの筆跡特徴が一般の筆跡サンプルや石川さん文書に現れる頻度を文字一覧から調べ、脅迫状を石川さんが書いたとする確率を「ベイズの定理」を応用した「同筆性確率公式」を使って計算し、石川さんが脅迫状を書いていない(異筆である)ことを証明しました。
類似点だけをとりあげ、相違点を無視し、筆跡が同一であるとしている4鑑定の誤りを明らかにしました。

2005年2月23日、テレビ朝日『ザ・スクープ〜見えない手錠をはずして〜』で狭山事件が特集されました。キャスターの鳥越俊太郎氏は、脅迫状の疑問点を取り上げました。
見出し当時の石川さんの国語能力では脅迫状は書けないことを指摘。
見出し自白では「脅迫状を素手で作成し犯行前から持ち歩いていた」と供述しているが、複数の指紋は検出されているものの、石川さんの指紋は付着していない。
見出し自白では脅迫状の宛名にはもともと「少時様」とボールペンで書いていたのを、殺害後に被害者所持品のボールペンで「中田江さく」(被害者の父の名前)と訂正したことになっている。しかし、弁護団と鑑定人によると、「少時様」の部分も万年筆で書かれていたことが判明している。

このことは、石川さんが犯行前に被害者である中田善枝さんの万年筆を所持していたことになり、自白そのものが誘導されたものであり、真実ではないことを証明しています。