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平成16年度
アイヌ文化普及啓発セミナーへ行ってきました!
担当:はまぐち
先日、和歌山県人権啓発センターさんからある「講義」をご紹介いただいた。

(財)アイヌ文化振興・研究推進機構主催の「アイヌ文化普及啓発セミナー」だ。

実は「講義」と聞いて少し躊躇した。
(なぜかというと、近頃「講義」という難しそうな話を聞いたことがないので、じっと座ってられるのか心配であったのだ・・・)



躊躇した云々はさておき、講師の方がたのお話は大変興味深かった。
「イランカラプテ」の言葉ではじまった中本ムツ子さん。
「こんにちわ」の意味だそうだ。現在76歳。
年齢を言うのは失礼な話だが、とてもお元気だ。話と歌で1時間30分はあっという間。

中本さんは、1900年代(明治生まれ)のおばあさんからたくさんの話や歌、民話などを聞いたのだという。
文字をもたないアイヌ民族の伝承方法は口承、いわゆる語り伝えになる。
そのなかで「地球は神がつくった。その上にすべてを作っておろしたんだ」と。
中本さんは「アイヌ語はとてもきれいな言葉。森や川、すべての生き物は神であり、私たち人間に与えてくれたもの」と言う。

その日、私が教わった歌は2曲。

「ウポポ」と「カムイチカプ カムイ ヤイエユカラ シロカニペ ランラン ピシカン」。
(社団法人北海道ウタリ協会 http://www.ainu-assn.or.jp/about01.html )



続いて萩中美枝さんの講義では『八重九郎のサコロベ』の映像をみせていただいた。
NHKの記録映像だ。八重九郎さんは1895年に釧路地方で生まれ、83歳で亡くなられた。
サコロベの伝承者として多くの研究や記録映像が残されている。

北海道は同化政策によって、アイヌ語を話すこと、耳輪や刺青、伝統的な習慣や儀式などが「野蛮」であるとして和人によって禁止された。
もちろんアイヌ語の名前も奪われ「日本人」になることを「強制」された。

そのような中、八重九郎さんは受け継がれてきた文化や生活習慣を守り「奪われた」尊厳を取り戻すために、信念をもって仲間にアイヌ語を伝えようとした・・・
(映像はNHKで貸出してくれるか不明だが、萩中さん曰く「何かあったら言って下さい」とのこと)

翌日には、サッポロ堂書店の石原誠さん・院生の佐藤奈奈さんから「『知里真志保書誌』を読む」、スチュアート・ヘンリさんから「先住権と権原」の講義があった。

みんな「権限」と思っているようだが、本来は「権原」なんですとスチュアートさん。

【権原】主として先住民が住んできた「土地」に対する権利をめぐる概念。だそうだ。
それでは、先住民とは?
【先住民】国民が享受するすべての権利に加えて、その先住性にもとづく先住民族だけに認められる特別な権利で、その都度、国家が決める。のだそうだ。


なんせ、2日目は専門用語が宙を飛びかい、レジュメを追いながら話を聞くのが精一杯・・・
しかし「権原」や「先住民」という言葉は普段からよく聞くが、改めて概念を学習したのは初めて。



この講義を受けて・・・

中曽根首相(1986年当時)の「日本は単一民族」発言を覚えておられるだろうか?
中曽根は国会で「日本国籍をもっている方々で、差別を受けている少数民族はいないだろうと思います。国連にも、そのように報告しています」と。何を思い、何を考えこの発言をしたのか?

問題は「民族問題」を知らないことではないか?

同化政策を強行し、「日本人」になることを強制し、「日本は単一民族国家」であると国連に報告する。


文化振興に関しては法律もできて「保護」されているようにみえるが、漁業権、狩猟権などはまったく保障されていない。

私たちの生活の中でアイヌ民族に関することは少ないのかもしれない。

日本政府やマスコミ、第三者が発する言葉に疑問をもってみて下さい。そして、先住民の問題と自身、向き合ってみて下さい。


平成16年度 アイヌ文化普及啓発セミナー (大阪会場)は、大阪市立総合生涯学習センターにて、2004年8月4日・5日に開催されました。

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